【11月21日 AFP】韓国政府は21日、日韓両政府の合意に基づき設立され、元慰安婦らの支援を行ってきた「和解・癒やし財団」を解散すると発表した。日本政府は韓国の駐日大使を呼び、韓国政府に日韓合意の着実な履行を求めるなど厳しい態度を見せており、日韓の関係悪化が一層深刻化するのは避けられない見通しだ。

「和解・癒やし財団」は2015年の日韓合意に基づき設立され、日本政府は10億円を拠出。元慰安婦への支援事業を行うとした上で、韓国政府は慰安婦問題を再び提起しないことで合意していた。

 しかし、日本の戦争責任を問うのに日韓合意は不十分であると一部の慰安婦が抗議。朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)政権時に結ばれた合意に後任の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領も否定的な立場を表明し、文政権は日本政府が拠出した10億円を返還する意向を示していた。

 財団を主管する女性家族省は、「和解・癒やし財団を正式に解散する法的措置を取る」「再調査の結果や財団を取り巻く現在の状況に基づき、事業の終了を決定した」と発表。さらに日本拠出の10億円の残余については「合理的な処理方法」で返金すると説明した。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は韓国政府が財団の解散を発表したことについて記者団に対し、「3年前の日韓合意は最終的かつ不可逆的な解決であります」「国際約束が守られないのであれば、国と国との関係が成り立たなくなってしまいます。韓国には国際社会の一員として責任ある対応を望みたいと思います」と述べ、日韓合意の履行を求めた。

 和解・癒やし財団は2016年の設立以来、計44億ウォン(約4億4000万円)近い支援金を元慰安婦や遺族らに支給している。(c)AFP