【11月20日 AFP】合成麻薬「エクスタシー(Ecstasy)」の主成分MDMAには、他者への協力度を高める作用があるが、その対象は信頼できる人物に限られるとの研究論文が19日、発表された。他者を助けたいという意志にMDMAがどのように影響するかを調査した初の研究結果だという。

 英国ではMDMAは、違法薬物の分類で最も有害とされる「クラスA」に指定されているにもかかわらず、摂取すると活力や共感、快楽感などを高める作用があるため広く消費されている。

 MDMAには行動や心的状態に関連することが知られている神経伝達物質(脳内で情報伝達を行う化学物質)が含まれるが、これらが社会的交流にどのような影響を及ぼすかについては現在のところ、科学的にほとんど解明されていない。

 英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)の研究チームは今回、被験者となった健康な成人男性20人に、娯楽目的で通常用いられる量のMDMAとプラセボ(偽薬)のどちらかを投与する実験を行った。被験者には投与後に一連の作業課題を実行させ、その間にMRI(磁気共鳴画像装置)スキャナーで脳活動状態の画像を撮影した。