【11月6日 AFP】国連(UN)は6日、イラク国内にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が残した集団墓地200か所超が見つかったことを明らかにした。最大で1万2000人の犠牲者が埋葬されている可能性があり、戦争犯罪の極めて重要な証拠となり得るという。

 国連イラク支援ミッション(UNAMI)などは、ISが2014年から昨年までの間に支配下に置いた同国西部と北部の一部地域で、計202か所の集団墓地を記録。

 今後数か月でさらなる墓地が発見される可能性もあるとされ、遺族の心の整理のためにも、イラク当局に対し墓地の適切な保全と発掘を進めるよう求めている。

 ヤン・クビシュ(Jan Kubis)事務総長特別代表(イラク担当)は「われわれの報告書に記載された集団墓地は、痛ましい人命の喪失、深刻な受難、衝撃的な残忍性の証しだ」と述べた。

 集団墓地には、犠牲者の特定および一連の侵害行為の詳細を明らかにするのに役立ち得る「犯罪の重要な証拠が残されている」可能性があるという。

 今回の報告書に記載された集団墓地202か所のうち、発掘されたのはわずか28か所で、そこから計1258人の遺体がイラク当局によって収容されたという。

 集団墓地の半数近くは、ISがかつてイラクにおける拠点としていたモスル(Mosul)があるニナワ(Nineveh)州に存在するという。ISは同州で、少数派のヤジディー(Yazidi)教徒に対して残虐行為を繰り広げた。(c)AFP