【10月18日 AFP】2016年に発表された、世界最古の生命活動の痕跡を示す37億年前の化石が見つかったとの研究結果について、別の研究チームが17日、これに異を唱える論文を発表した。新たな研究論文では、化石とされた構造物に生命活動の痕跡は見られないとの見解が示された。

 この構造物はオーストラリアの研究チームがグリーンランドで発見したもので、それまで地球に初めて生命が誕生したと考えられていた時期よりも、さらに2億2000万年古い37億年前の生命活動の痕跡が見られると発表していた。

 だが、カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)の研究チームがこのほど発表した研究論文では、微生物の活動を示すとされていた構造物について、実際には地中の熱と圧力により生成された全くの別物であることが指摘された。

 円すい状の構造物が、37億年前の生命活動の痕跡を示す化石であるかどうかは、それが「ストロマトライト」であるかどうかにかかっている。ストロマトライトは、水生微生物が堆積物を層状に積み重ねることで形成される。2016年より前は、オーストラリアで発見された34億5000年前のものが最古とされていた。

 地球の生命は、この星の誕生から約10億年後に登場したと考えられているが、より正確な時期を知ることは、生物がどのようにして現れ、そして進化したのかを理解する上で重要となる。

 今回、カリフォルニア工科大学のアビゲイル・オールウッド(Abigail Allwood)氏ら研究チームは、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された2016年の論文を分析し、争点となっている化石の立体構造や化学組成を調べた。

 研究チームは、その構造の分析から、化石にはストロマトライトの特徴である「内部の層」がないと判断し、また、円すい状の形については変成作用による長期間の変化だったことを確認した。微生物活性の化学的痕跡も見られなかったという。(c)AFP