【10月17日 AFP】過去5年間でヒットしたヒップホップの曲のミュージックビデオでは、その約半数で喫煙やベーピング(蒸気を利用した吸引方法)のシーンが見られたとする報告書が15日、発表された。

 米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された報告書は、たばこや電子たばこ、マリフアナなどに関する規制がミュージックビデオでは緩く、こうした製品およびブランドの宣伝にはうってつけの機会となっていることを指摘している。

 また映像の中に商品を登場させる広告の手法「プロダクト・プレイスメント」をめぐっては、特定のたばこ関連製品の登場回数が、特にヒップホップのミュージックビデオで増えていることにも触れた。ヒップホップは、米国で最も人気のあるジャンルだ。

 米研究機関「Dartmouth Institute for Health Policy」で公衆衛生について研究するクリスティン・クヌッツェン(Kristin Knutzen)氏と同僚2人は、2013~17年に米音楽業界誌「ビルボード(Billboard)」でヒップホップのヒットチャートを飾った楽曲のミュージックビデオを対象に、喫煙やベーピングの描写の有無を調べた。マリフアナやたばこ、電子たばこを吸引するシーンがその対象とされた。

 その結果、ビルボード・チャートのヒップホップ/R&B部門で「トップ50」に入った1250曲のミュージックビデオのうち、40~50%でなんらかの喫煙やベーピングのシーンが確認された。その割合は、年によって差があった。こうしたミュージックビデオの再生回数は、合計約490億回に上ったという。

 製品名が表示される回数も同様に増えていた。従来のたばこ製品では、2013年には0%だったが、2017年には10%となっていた。

 米食品医薬品局(FDA)は2010年以降、ミュージックビデオや映画の中でたばこ関連製品のプロダクト・プレイスメントを行う場合、関係者からの事前の通知を求めている。だがこうしたルールは電子たばこには適用されておらず、また周知も徹底されていない。

 今回の調査結果を受け研究者らは、ミュージックビデオにおけるプロダクト・プレイスメントの将来的な規制によって、「その使用機会を制限できる他、使用に関わる負担の軽減につながることも考えられる」との考えを示している。(c)AFP