【10月15日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は15日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が「首都」と称し重要拠点にしていたシリア北部の都市ラッカ(Raqa)の奪還作戦の際、米主導の有志連合による空爆で民間人に数百人の犠牲が出たにもかかわらず、有志連合側がこれを認めず調査も行っていないと非難した。

 クルド人とアラブ人の合同部隊は昨年10月、有志連合軍から空爆の支援を受け、ラッカをISから奪還した。

 しかし、アムネスティは「米主導の有志連合は自らがラッカにもたらした衝撃的な規模の民間人殺害と破壊を今も認めておらず、適切な調査も行っていない」と指摘。また、有志連合側はラッカの奪還作戦で死亡した民間人の数をわずか100人としか認めておらず、これらの犠牲者についてすら法的な責任を受け入れていないと非難した。

 アムネスティのクミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)新事務総長は「有志連合が民間人にもたらした犠牲の大半について自らの役割を認めようとしないのは、どう見ても非難に値する」と述べ、死者を出した個々の空爆の事実確認と将来のミス予防のため、有志連合側に調査を実施するよう強く求めた。

 2014年以降、米主導の有志連合がシリアとイラクで直接責任があると認めた民間人の犠牲者数は1100人を超える。だが、アムネスティによれば実際の犠牲者数はもっと多い。在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、有志連合による空爆の民間人犠牲者数はシリアだけでも3300人以上に上ると発表している。(c)AFP