【10月8日 AFP】国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は8日、温室効果ガスの排出ペースが現状のままなら早ければ2030年、遅くとも2050年までに地球の平均気温は産業革命前と比べて1.5度以上上昇する可能性が高いと報告し、気候変動に伴う国際的な混乱を回避するため社会と世界経済を「未曽有の規模」で変革する必要があると訴えた。

 地球の平均気温は既に産業革命前比で1度上昇しており、海面上昇のほか暴風雨の強大化、洪水や干ばつの増加を招いている。温暖化がこのまま進み、気温上昇が3~4度に達すれば、地球は人が住める場所ではなくなるとの指摘もある。

 IPCCの共同議長で、南アフリカ・ダーバン(Durban)にある環境計画・気候保護局(EPCPD)のデブラ・ロバーツ(Debra Roberts)局長は「恐らく、今後数年が人類史において最も重要になる」と述べた。

 IPCCは400ページにわたる報告書の中で、大災害を防ぐため行動できる時間は残り少ないと警告。政策決定者向けに報告をまとめた文書では、温暖化が人類の対策を上回るペースで進行している点を強調するとともに、最悪の未来を回避するためのパラダイムシフト(発想の転換)といえる選択肢の概要を説明している。

 2015年に採択された地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」以前の約10年間の研究は、気温上昇を2度までに抑えれば気候変動の影響から世界を守れるとの予測に基づいて行われていた。しかし、今回のIPCCの報告書は、温暖化の影響が予測より早く顕在化し、予想以上に大きな被害をもたらしていることを示している。(c)AFP/Marlowe HOOD