【10月6日 AFP】米国第3の都市シカゴで2014年に白人警察官が黒人少年を射殺した事件で、陪審は5日、被告の警察官に殺人罪で有罪評決を出した。この事件を受けて、シカゴでは数か月にわたって抗議デモが行われていた。

 ジェイソン・バン・ダイク(Jason Van Dyke)被告は2014年、ラクアン・マクドナルド(Laquan McDonald)さん(当時17)に向け16回にわたり発砲した。車載カメラの映像によると、マクドナルドさんは撃たれた時、ナイフを手にしていたが、バン・ダイク被告から遠ざかるように歩いており、何ら威嚇的な態度は取っていなかったという。

 12人から成る陪審は、評議開始からわずか1日で評決に達し、バン・ダイク被告を検察が求めていた第1級殺人より罪の軽い第2級殺人で有罪とした。

 バン・ダイク被告は銃器を用いた加重暴行罪16件(発砲した銃弾1発につき1件)でも有罪となったが、公務員の義務違反行為については無罪となった。

 評決が読み上げられると、裁判所前に集まった人々は喜び、「ラクアンに正義を!」とシュプレヒコールを上げ始めた。地域のまとめ役のジャネット・ウィルソン(Janette Wilson)さんは記者団に対し、「これはシカゴにとって歴史的なものだ」、「シカゴの人々が、この判例は本当に米国にとって模範になるものだと考えてくれることを望む」と語った。

 イリノイ州法が定める法定刑は、第2級殺人は4~20年の禁錮刑、銃器を用いた加重暴行罪は6~30年の禁錮刑となっている。

 この事件では、警察の車載カメラの映像が決め手となった。映像によると、バン・ダイク被告は、マクドナルドさんが地面に倒れて動かなくなった後も発砲し続けていた。車載カメラの映像は事件から1年以上も公開されなかった。裁判所に命じられてシカゴ市当局がようやく映像を公開すると、関係者の免職を求める抗議デモが数か月にわたって行われた。

 民事訴訟では、シカゴ市が500万ドル(約5億7000万円)を支払うことでマクドナルドさんの遺族と和解している。(c)AFP/Nova SAFO