【10月1日 AFP】アフリカ南部ザンビアの首都ルサカで、同国の経済への影響力を強めている中国に抗議するデモが行われた。「中国はヒトラー(Hitler)と同じ」と書かれたプラカードを掲げていたのは、小政党の党首ジェームズ・ルクク(James Lukuku)氏だ。同氏はこの後、警察に連行されて数時間勾留され、一人きりの抗議デモを反すうすることになった。

 だがエドガー・ルング(Edgar Lungu)大統領率いるザンビアで、中国の影響力の増大、とりわけザンビア政府への巨額の融資計画に反対しているのはルクク氏だけではない。

 実際、同氏のように、中国の巨大プロジェクトが既に脆弱(ぜいじゃく)なザンビア経済をさらに悪化させるのではないかとの懸念を抱く人々は大勢いる。

「国際社会に対し、ザンビアに対する中国の影響と、ザンビアの汚職に注意を促したい」と語るルクク氏が着ている白いTシャツには、「#sayno2China(中国にノーと言おう)」というスローガンがプリントされていた。

 中国は、ザンビアをはじめとするアフリカ数か国の主要投資国となっており、「無条件」融資を供与するとともに、公開入札の大半を請け負っている。ザンビアでは、ルサカをはじめ、全国各地で主に中国融資による建設ラッシュが続き、空港、道路、工場、警察署などの建設が進められている。

 ルクク氏は、「中国はザンビアからあらゆるものを奪い取ろうとしている。犯罪的な債務を通じて、わが国の経済を乗っ取っている。ザンビア政府は議会の承認さえ受けずに、中国から融資を受けている」と指摘した。

 ザンビアの対外債務は、公表されている額では約106億ドル(約1兆2000億円)だが、政府は融資を受けた実際の金額を隠蔽(いんぺい)しているとの疑いがここ数か月間、強まっている。隣国モザンビークの場合は、2016年に債務額が発表とは異なる20億ドル(約2300億円)に上ることが発覚。ザンビアも同様ではないかとの懸念から、国際通貨基金(IMF)は13億ドル(約1500億円)の融資交渉を一時的に延期した。