【9月24日 AFP】IT最大手のマイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の3社は、世界銀行(World Bank)および国連(UN)と連携し、データ分析や人工知能(AI)を駆使して開発途上国における飢饉(ききん)の検知と未然防止に協力していく。23日に発表された新構想で明らかになった。

 世銀と国連が出した共同声明によると、飢饉が実際に起き、多くの人命が失われて初めて対応に乗り出すのではなく、危機的状況に陥る前に手だてを講じていくため、3社が「資金調達に直ちに着手できるよう、データの予測力を活用」していくという。

 世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁は声明で、「21世紀においてもなお、多くの子どもを含む何百万という人々が深刻な栄養失調や飢餓に苦しんでいるという現実は、世界にとっての悲劇である」と述べ、「『ノーモア』と言えるよう、前例のない世界的な連合体を形成中だ」と明かした。

 新設される飢饉行動機構(FAM)は、飢饉につながりかねない食料危機を検知するため、初期段階で警告を出し、早い段階での介入が可能になるよう、事前に定められた資金調達計画を発動する。

 グーグル、マイクロソフト、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などのIT企業が連携して、悪化していく食料危機のリアルタイム評価・予測のためAIと機械学習を活用する「アルテミス(Artemis)」と呼ばれる一連の分析モデルの開発に向けて、専門知識を提供する。こういった予測を行うことが政策立案者を早期対応に導き、促す一助となる。

 FAMは、初期段階では飢饉が発生しやすい一部の開発途上国を対象とし、最終的には全世界へ範囲を拡大する。来月13日にインドネシアのバリ(Bali)島で開催される国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会では、FAMに参画する指導者らが集まって今後の運営についてさらに議論を深める予定。

 国連などの昨年のまとめによると、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、イエメンで2000万人以上が飢餓状態にあり、現在も1億2400万人が緊急の人道的支援を必要とする危機的レベルの食料不足の中で生活している。こうした人々の半数以上が、紛争の影響下で暮らしている。(c)AFP