■「通りを渡るだけでは仕事は見つからない」

 リベラシオンはマクロン氏の言動に対し、「極めて高級官僚的なものの見方だ。仕事の口があるなら、求職者をあてがいさえすればいいという考え方で、当人がこれまでに受けてきた訓練や状況、どんな仕事をして生きていきたいかを考慮していない」と述べ批判を展開。そして、「マリー・アントワネットのようなスタイルで(求職者を)責める行為こそが、政権の足を引っ張っている」と結論付けた。

 その一方で、マクロン氏の助言を擁護する声も上がり、建設およびレストラン業界では、高い技術を必要としない仕事がたくさんあり、実際に人が足りていないことが指摘された。

 業界関係者によれば、フランスのホテル・レストラン業界は最大10万の求人数があり、人手不足を解消するため、マクロン大統領に対して不法移民に法的な身分を認めるよう働き掛けがなされているという。

 実際に、飲食店が密集しているモンパルナス地区では、きつい仕事と規定外の労働時間に音を上げて辞めていく人も多く、店舗マネジャーの多くが慢性的な人手不足に悩まされている。

 しかし、ウエーター歴30年の男性は、レストランの仕事にありつくことは「もちろん」可能だが、マクロン大統領の言うように「通りを渡るだけでは見つからない」と、くぎを刺した。

 男性は、「誰にでも適性があるわけじゃない」として、就職を希望して店にやって来る人の多くは、たいてい皿洗いを希望するが、そうした移民の大半は「就労資格がないか、フランス語がまともに話せない」のだと説明した。

 マクロン大統領の支持率はこのところ低下している。デモ参加者への暴力行為が明らかになった元警護責任者をめぐる問題はスキャンダルに発展。他方で、今年の経済成長率は1.6%に下方修正された。カンター・ソフレスワンポイント(Kantar Sofres-OnePoint)が17日に発表した世論調査の結果では、支持率はわずか19%だった。(c)AFP/Katy LEE and Mathieu RABECHAULT