【9月11日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は10日、極東のクリール諸島(Kuril Islands、北方領土を含む千島列島)における日本との領有権問題が速やかに解決する可能性は低いとの見解を示した。より楽観的な見通しを示していた日本側に冷水を浴びせるような形となった。

 プーチン氏はロシア極東のウラジオストク(Vladivostok)で開催の「東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)」に出席するためロシアを訪問した安倍晋三(Shinzo Abe)首相と会談。会談後に「この問題は何十年にもわたって協議されてきており、速やかに解決されると考えるのはナイーブ(訳注 世間知らずの、考えが甘い、といった意味)というものだ」と語った。

 プーチン氏は「だがわれわれはロシアと日本の両国にとってうまくいき、両国民に受け入れられるような解決策を模索する用意がある」と説明。協議を通じて日ロ関係に「新たな弾み」がつくことは間違いないとの見通しを明らかにした。

 またプーチン氏は、日ロ政府は千島列島の南端に位置する北方領土4島での協力・経済関係で進展を見せたとも述べた。共同通信(Kyodo News)によると安倍氏は会談後の記者会見で、北方領土問題の解決に向けプーチン氏と最大限の努力を継続するとした上で、北方四島における共同経済活動の「ロードマップ(行程表)」を日ロ首脳が承認したと述べた。

 ロシア軍は11日から東シベリアで中国の兵士も含め約30万人が参加する大規模な軍事演習を実施する。ロシア政府は北方領土では演習を行わないとしているが、共同通信が野上浩太郎(Kotaro Nogami )内閣官房副長官の話として報じたところによると、安倍首相はプーチン大統領に日本は同演習を注視していると伝えた。

 安倍首相は、プーチン大統領が来年訪日することを両首脳が確認したことも明らかにした。(c)AFP