【8月31日 AFP】勝利欲しさのいかさま行為は競技という営みが誕生した時代から存在してきたが、中国で昨年4月に行われたハトレースでは、出場した男2人が現代的で大胆な手段に打って出た。ハトを牛乳パックの中に隠し、高速列車に飛び乗ったのだ。

 当然のごとく、2人のハトたちはそのレースの1位から4位までを独占。賞金は総額100万元(約1620万円)を超えた。

 しかし中国国営紙・法制日報(Legal Daily)によると、あまりのタイムの早さに間もなく疑いが持ち上がり、大がかりな計略があったことが発覚。レース主催者が警察に通報した。

 男らについては、ゴン(Gong)、張(Zhang)という姓がそれぞれ伝えられている。同紙によれば、2人は罪を隠蔽(いんぺい)するためレースに出したハトを殺し、賞金の受け取りをあきらめたが、時すでに遅く、上海で裁判にかけられて詐欺罪で懲役3年の執行猶予付き判決を言い渡された。また、ゴン被告は3万元(約49万円)、張被告は2万元(約32万円)の罰金を科された。

 両被告はほかにも、大会ルールを破って2歳以上のハトを出場させていた。

 スタート地点となった内陸部の河南(Henan)省商丘(Shangqiu)市とゴール地点の沿岸部・上海市の距離は約750キロ。犯行は長距離に及ぶだけでなく手の込んだもので、レースの1年前から河南省と上海でハトを飼育し、両方の土地を覚えさせるところから始まった。

 主催者に預けられた2人のハトは、レース開始後、上海に直行せずに河南省の別の場所に向かった。ハトはそこで牛乳パックに隠され、高速列車で上海に移動。到着後にパックから出されてトップでゴールした。

 2人は賞金を受け取らなかったことで執行猶予を認められており、罪を重ねない限り収監されない。

 ハトレースは中国の高齢者の間で人気のスポーツで、近年は上海が本場とされている。

 飛行距離によるものの、競技用のハトは時速約150キロもの速さで飛ぶことができる。とはいえ、さすがに高速列車にはかなわないということだ。(c)AFP