【9月19日 AFP】イングランド・プレミアリーグで順調なキャリアを歩んでいる韓国代表の孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)――。そんな彼のレガシーがすでに、父が母国で運営する革新的なサッカーアカデミーで形になり始めている。

 孫の父親であるソン・ウンジョン(Woong-jung Son)氏(56)は、息子の生まれ故郷である韓国・春川(Chuncheon)で「ソン・フットボール・アカデミー(SON Football Academy)」を運営している。韓国では激しいトレーニングで若手選手が1日に最長8時間も練習するといったことが一般的だが、ここでは少し変わったアプローチが採用されている。

 自身も現役時代は将来有望なストライカーだったウンジョン氏だが、けがによって選手キャリアを早くに諦めざるをえなくなった。「非常に早い段階から必要以上のトレーニングを積むと恐ろしいことになる。韓国サッカー界は勝利に固執しすぎている。そのため選手たちは若くして疲弊してしまう」とウンジョン氏は言う。

 自身のけがはオーバーワークの結果だというウンジョン氏は、自分の子どもには同じような悲惨な目に遭わせないと決意。息子は14歳になるまでサッカーチームに入れず、基礎に特化した自身のやり方で鍛え上げた。

 仲間の少年たちが11対11の試合を行っている頃、後にアジアのスーパースターになる少年はボールコントロールやドリブル、パスといった基礎技術を極めることだけに取り組み、燃え尽き症候群にならないよう1日2時間しか練習を行わなかった。

 そして、そうした訓練が報われた。

 26歳になった孫は、左右両足で不自由なくシュートを打つことができる数少ない選手として、プレミアリーグにおけるアジア人歴代得点ランキングで首位に浮上。さらに、所属するトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)と新たに5年契約を締結した。