【8月3日 AFP】ニュージーランドの雪山で遭難し、氷点下の環境で7日間身動きが取れなくなっていた登山家の男性が、間一髪で救助された。救助隊員はこの男性について、自力でもう一晩生き延びることは不可能だっただろうと話している。

 オーストラリア軍に所属するテリー・ハーチ(Terry Harch)さんは2日、ニュージーランド南島にあるアスパイアリング山(Mount Aspiring)の雪の中で腕を振っているところをヘリコプターに発見され、天候が一時回復するのを待って3日午後にヘリで救出された。

 アスパイアリング山の登山は困難なことで知られ、過去10年間に30人以上の死者を出している。

 ハーチさんはニュージーランドのサザン・アルプス(Southern Alps)への登山経験が豊富だが、今回は下山予定だった7月30日に救難信号を発信した。

 ハーチさんの個人用救難信号発信機からの無線標識信号を、米テキサス州にある装置の販売業者が受信。ニュージーランドの救助当局に連絡し、救助隊が2日午後、ハーチさんを発見した。

 救助隊の連絡調整を担当したネビル・ブレークモア(Neville Blakemore)氏は、「素晴らしい結果だ。この山でもう一晩は過ごして欲しくなかった。とにかく早く病院へ搬送して治療を受けさせなければならない」と述べた。

 救助ヘリの操縦士ショーン・マラリー(Sean Mullally)氏によると、最初の捜索ではハーチさんの存在を確認できず、4回目の試みで大きく手を振るハーチさんをようやく発見できたという。マラリー氏は日刊紙ニュージーランド・ヘラルド(New Zealand Herald)に、「彼(ハーチさん)が生きていられたのは、とても幸運だった。あと一晩生き延びることはできなかったと思う」と語っている。

 アスパイアリング山はここ数日、大雪に見舞われ、強風のため体感気温は氷点下16度に達していた。また、雪崩警報も発令されていた。(c)AFP