【8月1日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は7月31日、アジアとアフリカ中部で今年7月までの1年間に任務中に死亡した野生動物保護レンジャーは107人で、そのほぼ半数が密猟者に殺害されたと明らかにした。

 国際レンジャー連盟(IRF)の会長で、レンジャーの支援団体「シン・グリーンライン・ファウンデーション(Thin Green Line Foundation)」の創設者でもあるショーン・ウィルモア(Sean Willmore)氏は、今年7月までの1年間で任務中に死亡したレンジャーはその前の1年間より若干多い107人で、うち48人が殺害され、残りは事故で死亡したと語ったという。2009年以降の死者は871人に上った。

 ウィルモア氏は「パトロールを終えて家族のもとに帰る可能性を高めるため、レンジャーはより良い訓練を受け、より良い装備を与えられなければならない」と述べた。

 同じ期間にアジアとアフリカ中部ではレンジャーの7人に1人が事故や密猟者との衝突で重傷を負った。アジアとアフリカ中部は、地球上でもっとも豊かな生物多様性ホットスポット(訳注 生物多様性が高く、破壊の危機にひんしている地域)の多くがある地域だ。WWFは今年中にこの統計に関する詳しい報告書を発表する予定。また同様の調査を東アフリカでも行っていることを明らかにした。

 WWFの「ゼロ・ポーチング(密猟の根絶)」活動で主導的な役割を果たし、アジアレンジャー連盟(Ranger Federation of Asia)の会長でもあるローヒット・シン(Rohit Singh)氏は、レンジャーは危険を冒して野生動物保護の最前線で働いているのに、公正な報酬と十分な訓練を受け、保険に入っているレンジャーはごくわずかしかいないと指摘。これは「ショッキングなことだ」と述べた。

 レンジャーの1か月の収入は、アジアでは平均292ドル(約3万2700円)相当。アフリカ中部では150ドル(約1万7000円)ということが多いという。(c)AFP