【8月5日 AFP】台湾の先住民族のYuming A-vonさん(42)は10年前、地元の弓術大会で、皆が他文化の弓矢を使っているのを見て、落胆した。

 彼が属すアタヤル(Atayal)は、台湾の人口の約2%を占める16の先住民族の一つだ。数世紀にわたり、手製の木製弓で狩りをしてきたが、この技術も廃れてしまった。アタヤルの人々の多くにとって、狩りは生活の一部だが、ここ数十年で弓が銃に取って代わられるようになった。

 A-vonさんは長い間忘れられていたアタヤルの弓を再現するため、調査を始めた。伝統的な弓を持っている人はほどんどいなかったが、A-vonさんは何とか、おじがしまい込んでいた弓を探し出した。

「おじが作り方を教えてくれた。今では私が作る弓は、彼ができると思っていたものをはるかに超えているそうだ」と、A-vonさんは話した。

 狩りの伝統自体が廃れるのを懸念する先住民族もいる。現行法で狩りは規制されている上、村を出て暮らす若者たちは、狩りを習いたがらない。

 A-vonさんは、弓術への興味が強まったのは、より原始的な猟銃方法だからだ、と話した。「より大きな達成感を味わう」ことができるのだという。(c)AFP