【6月26日 AFP】英議会下院は25日、欧州で最も利用者の多い空港であるロンドンのヒースロー空港(London Heathrow)に、第3の滑走路を建設する計画を圧倒的多数の賛成で承認した。建設をめぐっては、過去数十年にわたってその潜在的影響について激しい議論が交わされてきた。

 計画は今月、英政府が合意していた。採決では環境汚染や騒音を懸念する地元選挙区を代表する一部議員が反対票を投じたが、全体では賛成が反対を296票上回った。反対派には、建設を中止させるためブルドーザーの前で横たわると誓ったこともある前ロンドン市長のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)外相も含まれるが、この日はあいにくアフガニスタン訪問と重なり投票を欠席した。

 政府によると、新滑走路の総事業費は140億ポンド(約2兆円)。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後の英国に大きな経済効果が期待され、2030年までに11万4000人分の雇用を生み出す可能性があるという。

 クリス・グレイリング(Chris Grayling)運輸相は採決前に「50年間待たれてきた重大な投票であり、運輸分野ではこの世代最大の決定になる」と指摘。「大勢の雇用、そして英国が国際的に戦い、世界貿易で勝てるかがかかっている」と力説した。

 空港側は2021年まで着工したい考えだが、正式な許可が必要なうえ、訴訟に直面する公算も大きい。

 環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)英国は採決直後に、ロンドンのサディク・カーン(Sadiq Khan)市長と超党派団体と共に提訴する用意があると表明した。(c)AFP