【6月17日 AFP】南米ベネズエラでポリオ(急性灰白髄炎)とみられる症状の患者が確認されたことについて、調査を行った世界保健機関(WHO)はポリオではなかったとの見解を明らかにした。

 ポリオはポリオウイルスによる感染症で、乳幼児がかかりやすく、手足にまひが現れることがある。ベネズエラの元保健相によると、同国でポリオ患者が最後に報告されたのは1989年だという。

 WHOの15日の声明によるとベネズエラの貧困地区で4月29日、急性弛緩(しかん)性まひの症状がみられる2歳の男児が見つかり、同国でおよそ30年ぶりにポリオ患者が確認されたのではないかとの懸念が出ていた。

 ただ、WHOによると急性弛緩性まひはさまざまな要因や病気によって引き起こされ、ポリオウイルスはその原因の一つに過ぎないという。また、まれではあるがポリオワクチンに使われる菌株の一種によって引き起こされることもあるという。

 WHOは「調査では自然界に存在するポリオウイルスとワクチン由来のポリオウイルス、どちらの存在も認められなかった」とし、「ポリオがこの患者から地域に拡散したり、まん延したりする恐れはない」と結論付けた。

 ポリオが疑われた男児はワクチン接種率の低い東部デルタアマクロ(Delta Amacuro)州在住で、まひの原因を調べるため検査を受けているという。(c)AFP