【6月17日 AFP】米名門ハーバード大学(Harvard University)の入学審査指針がアジア系の入学志願者に不利な内容であることを大学側が認識していたことを示唆する書類が15日、マサチューセッツ(Massachusetts)州の連邦地方裁判所に提出された。

 書類を提出したのは公正な大学入学審査を追及する米非営利組織「SFFAStudents for Fair Admissions)」。SFFAはハーバード大学が優秀なアジア系志願者の入学を減らして白人、黒人、ヒスパニック系の志願者らを優先して入学させているとして、2014年に同大を提訴していた。

 SFFAが15日にマサチューセッツ連邦地裁に提出した書類は、ハーバード大学が2013年に入学審査指針を精査したことを示している。

 SFFAの主張によると、ほかの人種と比較してアジア系志願者は総体的に学業成績が高いにも関わらず、ハーバード大学の指針はアジア系志願者を冷遇していることが明らかだという。

 アジア系の学生は、人種が問われなければ全体の26%、学業成績のみで判断されれば43%を占めるはずのところが、ハーバード大学の指針に基づいた結果、わずか19%だった。

 SFFAによれば、ハーバード大学は、実質的に不変の同大の人種グループの割合を維持する目的で、入学指針を適用してきたという。こうした指針は、ハーバード大学など複数の大学がユダヤ人学生の人数を制限しようとしていた1920年代までさかのぼるが、現在では制限対象がアジア系学生になっているという。

 これに対し、ハーバード大学は「アジア系米国人を含め、いかなる集団の志願者も差別していない」とアジア系への差別疑惑を否定。同大も自校の入学指針を擁護する書類を裁判所に提出した。(c)AFP