【5月29日 AFP】マレーシアのマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)首相は28日、首都クアラルンプールと隣国シンガポールを結ぶ高速鉄道建設計画の中止を決めたと表明した。両国の不安定な関係に暗雲を広げる決定だ。

 今月の総選挙で、長期政権を担った与党連合を予想外に破り首相に就任したマハティール氏は、ナジブ・ラザク(Najib Razak)前政権に巨額の不正資金疑惑が浮上してから同国の財政が大幅に悪化しているとして、財政立て直しを図っている。

 高速鉄道計画はマレーシアとシンガポール両国が数年前に合意。車で5時間かかっていた2都市間の移動時間を1時間半に短縮するもので、日本や中国、欧州の企業が受注を目指していた。

 マハティール首相は、高額な費用を理由に、計画を中止する「最終決定」を下したと説明。首相によると、マレーシアは補償として、最大5億リンギット(約137億円)の支払いを強いられる可能性がある。

 マハティール氏が以前首相を務めた1981~2003年には両国間の緊張が高まっていたことから、シンガポールは同氏の首相返り咲きにより関係が悪化する恐れもあると状況を注視しており、鉄道計画中止によって警戒感が高まるのは必至だ。(c)AFP/Sam Reeves