【5月17日 AFP】オゾン層を破壊する物質に関する「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」の規制対象であるオゾン層破壊物質の一種、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の放出が増加しているとの調査結果が16日、明らかにされた。

 調査結果によると、フロンガスの一種であるCFC-11の大気中濃度の低下率がここ数年は約50%鈍化しており、197か国・地域が批准している同議定書に対する重大な違反の可能性があるという。

 米ハワイ州のマウナロア観測所(Mauna Loa Observatory)などの遠隔地における測定により、増加したCFC-11の発生源は東アジアの可能性が高いという。

 調査を行った国際チームは「CFC-11の大気中濃度の低下率は2002年から2012年にかけて一定だったが、2012年以降は約50%鈍化した」、「2012年以降、増加したCFC-11は東アジアから排出されたことを示唆している」と述べた。

 成層圏(約10~40キロ上空)にあるオゾン層は、有害な紫外線から地球上の生命を保護している。

 1987年に採択されたモントリオール議定書は、南極上空などでオゾンを破壊するクロロフルオロカーボン(CFC、フロン)類の放出を規制した。オゾン層が最も破壊されたのは21世紀初頭で、約5%減少した。だが現在、南極上空の「オゾン層の穴(オゾンホール)」は明らかに修復の兆しを見せている。

 国連環境計画(UNEP)は今回の調査結果について、「オゾン層は今世紀半ばまでに回復する見込みだが、世界におけるCFC-11排出の増加が続けば、その進展は危うくなる」と述べた。CFC-11の大気中濃度の低下率の鈍化は、気候変動対策にも影響があるという。(c)AFP/Marlowe HOOD