【5月15日 AFP】米連邦最高裁判所は14日、野球やバスケットボール、アメリカンフットボールなどスポーツの賭博の解禁を認める判断を示した。米国ではすでに年1500億ドル(約16兆4500億円)規模の非合法のスポーツ賭博市場があるとされ、最高裁の判断を受けて数社が早速参入を表明した。

 米国では1992年、スポーツ賭博がビジネスとして成立していたネバダ(Nevada)、デラウェア(Delaware)、モンタナ(Montana)、オレゴン(Oregon)の4州を除くすべての州で、プロスポーツと大学スポーツを対象とした賭博が連邦法で違法とされた。

 これに対してニュージャージー(New Jersey)州は長年にわたり、スポーツ賭博を行う権利を求める活動を展開。最高裁は14日、判事9人のうち賛成6人、反対3人で、スポーツ賭博を法律で禁じるのは違憲と判断した。

 最高裁の判断を受けて、米国の大手ファンタジースポーツ企業、ファンデュエル(FanDuel)とドラフトキングズ(DraftKings)は直ちに声明を出し、スポーツ賭博市場に参入する方針を明らかにした。

 ドラフトキングズのジェーソン・ロビンズ(Jason Robins)最高経営責任者(CEO)は「大勢のアメリカ人にとって朗報だ。彼らは毎年、国外の闇市場のブックメーカー(賭け業者)を使って違法に1500億ドルの賭けをしている」と述べた。

 すでにネバダ州でスポーツ賭博業を行っている英ブックメーカー、ウィリアム・ヒル(William Hill)も声明で、全米への事業拡大に進出に意欲を示した。

 一方、国内のほかのプロスポーツ団体と共にスポーツ賭博解禁に反対してきた米大リーグ(MLB)は、今回の判断について「重大な影響を及ぼす」と懸念を表明。「我々が最も優先すべきは試合の清廉さを守ることだ」と強調した。

 不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領も、かつてニュージャージー州のアトランティックシティー(Atlantic City)に所有していたホテルやカジノが経営難に陥った際、その立て直しのためスポーツ賭博の解禁を求めたことがある。(c)AFP/Sebastien Blanc and Chris Lefkow