【4月23日 AFP】絶滅の危機にひんしているカンボジアの淡水イルカ、カワゴンドウ(イラワジイルカ)の個体数が、過去数十年で初めて増加に転じた。保護当局が23日、発表した。

 丸く突き出した前頭部と短い口先で知られるカワゴンドウは、かつてはメコン川(Mekong River)の広い流域に生息していたが、ここ数十年間はカンボジア中部から北部の対ラオス国境にかけての190キロのみで観察されていた。

 個体数推定が初めて行われた1997年には200頭居たカワゴンドウは、生息可能域の消失と破壊的な漁業慣行が原因で、2015年には80頭にまで減少。

 しかし今年だけで新たに3頭が誕生するなど子の数が増え、さらに死ぬ数が減ったことで、回復傾向が確認された。

 カンボジア当局と世界自然保護基金(WWF)の調査によれば、メコン川に生息するカワゴンドウの数は過去2年間で80頭から92頭に増加。WWFはこれを「歴史的増加」と評価している。

 WWFカンボジア支部のセン・テク(Seng Teak)氏は、「何年も尽力を重ねた結果、象徴的存在のこのイルカを絶滅から救うことができると信じに足る根拠が得られた」と喜んだ。

 WWFは、河川警備隊によるパトロールと、違法な刺し網の撤去が奏功したとみている。刺し網は、漁網を垂直に長期間固定するもので、イルカもこの網にかかって死ぬことがあるという。(c)AFP