【4月20日 AFP】今年開催された平昌冬季五輪の招致活動期間中に韓国の大手財閥サムスングループ(Samsung Group)が不法なロビー活動をしていたとされる報道を受け、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は19日、倫理委員会が捜査の進展を「監視」していくことを明らかにした。

 五輪の最大スポンサーの一つであるサムスンが、見返りを提示してIOCメンバーの票を集めていたとするSBSの報道を否定している中、バッハ会長は訪問中のインド・ニューデリーで記者会見を開き、疑惑の数々について「サムスンはきっぱりと否定している。これまで把握しているのは、それだけだ。しかし、IOCの倫理委員会が状況を監視していくことは間違いない」と述べた。

 SBSは、サムスンの重役と汚職問題により失脚した国際陸上競技連盟(IAAF)のラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)元会長の息子、パパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏との間でやり取りされたメッセージを含む電子メールのコピー137通を入手したと報道。その中には韓国・平昌をはじめ、ドイツ・ミュンヘンとフランス・アヌシー(Annecy)が立候補していた2018年冬季五輪の開催地決定について、投票権を持っていたIOCメンバー27人のリストも見つかったと伝えている。

 報道によるとパパ・マッサタ・ディアック氏は、リストに挙がっていたメンバーが必ず平昌に投票することを確約したとされており、2010年にかわされた1通のメールでは、陸上のダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League)のスポンサー料3年総額950万ドル(約10億円)を含む1200万ドル(約13億円)の資金に加え、「成功報酬」も要求していたとされている。これらの電子メールは、韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)前大統領の汚職事件を捜査していた同国検察が昨年押収したものだったという。

 大会のトップスポンサーとして、開催地の招致活動に関するロビー活動は禁止されているサムスンは、先日報じれらた疑惑について強く否定しており、「サムスンは平昌が選ばれるための違法なロビー活動には一切関与したことはない」とする声明を発表している。(c)AFP