【4月7日 AFP】ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を選考するスウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)の著名会員3人が6日、性的暴行スキャンダルの渦中にある男性とアカデミーとの癒着に抗議して同団体を辞任したことが明らかになった。

 世界的に広がっているセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の流れで、スウェーデンの日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)が昨年11月、この男性に性的暴行またはレイプされたと主張するアカデミー会員および会員の妻や娘、職員計18人の女性の証言を報じて以来、アカデミーは揺れ続けている。

 同紙によれば、問題となっている性的暴行は1996年から2017年に起きた。暴行の一部はこの男性が運営していたクラブで加えられたとされるが、クラブの運営費の一部はアカデミーから出ており、男性は同団体からの資金提供を受けて活動していた。

 アカデミーは報道を受け、この男性との関係を完全に断った。男性の身元は報じられていないが、ストックホルムの芸術界でトップクラスの著名人であるため、公然の秘密となっている。

 今回辞任したのはペーテル・エングルンド(Peter Englund)氏、クラス・オステルグレン(Klas Ostergren)氏、シェル・エスプマルク(Kjell Espmark)氏。3人は5日、ストックホルムの飲食店で行われた定例会の後、辞意を固めた。

 3人は終身会員なので制度上辞任することはできないが、会議への出席を強制することはできない。アカデミーの定員は18人だが、女性会員2人が数年前から活動しておらず、今回3人が去ったことで5人が活動を停止することになった。

 地元日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)およびアフトンブラデッド(Aftonbladet)の文化面は、3人の辞任についてそれぞれ、アカデミーの「崩壊」につながる「最悪の事態」、「バベルの塔(Tower of Babel)が崩れつつある」と表現している。

 ストックホルム検察当局は今年3月、時効成立または証拠不十分を理由に捜査の一部について打ち切りを発表した。(c)AFP/Gaël BRANCHEREAU