【3月29日 AFP】英ロンドンのトラファルガー広場(Trafalgar Square)で28日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員によって破壊された古代イラクの像が、ナツメヤシシロップの缶約1万個を材料に用いた立体作品としてよみがえった。2003年の米国主導のイラク侵攻以降破壊されたイラク文化を象徴するモニュメント作品として、今後2年間展示される。

 作品は、イラク系ユダヤ人をルーツに持つ米国人コンセプチュアルアーティスト、マイケル・ラコウィッツ(Michael Rakowitz)氏が手掛けたもので、「The Invisible Enemy Should Not Exist」と題された。

 作品についてラコウィッツ氏は、「破壊された像の亡霊、そして取り戻すことのできない人の命…安らぎの場所を探し続けている人の魂が収まる場所と考えている」とコメントした。

 像の高さは4.5メートル、重さは6000キロで、空のナツメヤシシロップの缶1万500個が材料として使用されている。ラコウィッツ氏によると、イラクではナツメヤシを新生児の口に含ませる習慣があり、そのためイラク人の人生最初の味は甘いのだという。

 オリジナルの像は紀元前700年ごろからイラク北部ニナワ(Nineveh)の門に立っていた翼の生えた牛の姿をした守り神「ラマス(Lamassu)」で2015年、ISによって破壊された。

 ラコウィッツ氏の作品は、2003年にイラクの国立博物館から略奪された収蔵品やイラク戦争の余波で破壊された遺跡7000点以上をよみがえらせるプロジェクトの一環として制作された。(c)AFP/Robin MILLARD