■最後の辺境

 報告書の分析によると、土地劣化と気候変動によって2050年までに作物の生産量が世界全体で10%減少し、一部では50%まで減少する地域もあるという。土地劣化の主な要因は、富裕国の「高消費型の生活様式」と、所得と人口の増加によって加速している途上国の製品需要の増大だと、報告書は指摘している。

 他方で、人的活動の「重大な影響」が及んでいない土地は全体の4分の1足らずという。これらの土地が人類の影響を免れている主な理由は、世界の寒冷地、高地、乾燥地、湿潤地などの人の居住に適さない地域に存在するからだ。しかし、手付かずの自然が残るこうした土地も30年以内に10%未満にまで縮小することが予測されている。

 報告書の共同執筆者で、南アフリカ・ウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)のボブ・スコールズ(Bob Scholes)氏は、AFPの取材に「これらの地域に人が押し寄せているのだ」と指摘する。

 報告書によると、今後30年以内に、農業生産性が低い乾燥地域や半乾燥地域の居住人口が40億人に達すると推定されている。これは推定世界総人口の40%に相当するという。

 現在、この数字は30億人強とされている。

 報告書のとりまとめを要請した国連砂漠化対処条約(UNCCD)のモニーク・バルビュー(Monique Barbut)事務局長は、今回の評価報告が「全ての人類への警鐘となる」と述べ、「人類による土地の転換が憂慮すべき規模に及んでいることを、今回の報告書は示している」と続けた。 (c)AFP/Mariëtte Le Roux