【3月27日 AFP】サッカーブラジル代表のチッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)監督は26日、ドイツ代表との親善試合を27日に控え、2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)準決勝で同国に1-7の大敗を喫した深い傷痕が「亡霊」のごとくチームにつきまとっているとの認識を示した。

 4年前のW杯準決勝で、ブラジルはベロオリゾンテ(Belo Horizonte)でドイツと対戦し、前半のわずか6分間に大量4失点を喫するなどして母国ファンの前で惨敗した。この試合でトニ・クロース(Toni Kroos)とアンドレ・シュールレ(Andre Schuerrle)が2得点ずつ記録するなど、圧倒的な攻撃力を発揮したドイツは、その勢いのまま大会制覇を成し遂げた。

 ドイツ・ベルリンのオリンピック・スタジアム(Olympic Stadium)で行われる親善試合で、A代表としては4年ぶりにドイツ戦に臨むブラジルのチッチ監督は、独誌キッカー(Kicker)に対し、チームが現在もその傷を抱えているとして、「この試合は精神的に大きな意味を持っている。誰もそのことをごまかす必要はない」と述べた。

「1-7で負けたW杯の試合は亡霊のようにつきまとっている。今でもそれは存在しており、人々の語り草となっているが、その話題が出るたびに『亡霊』は消え去りにくくなっている。それは競技をする上で試練というだけでなく、精神的に高い壁となっている。しっかり準備して最高のパフォーマンスを発揮することが重要だが、当然のことながら良い結果も求めている」

 2016年からブラジル代表の指揮を執る56歳のチッチ監督は、ルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)氏が監督だった前回のW杯でドイツに惨敗した試合について、「サンパウロの自宅で一緒に試合を観戦していた妻が3失点目で泣き出した。それから私も不機嫌になり始めた」と振り返った。

「そこからドイツは一気に勢いを増し、すべてのシュートが得点につながった。あれはビデオゲームでもめったに起きないような展開だ。たまにサッカーでは、チームが完全な状態に近づくことがある。それがドイツに起こっていた。あのときの傷はまだ開いている。ベルリンでの試合は、その傷口をふさぐプロセスの一つだ」

 2016年のリオデジャネイロ五輪決勝で、ブラジルはPK戦の末にドイツを破っているが、A代表の国際試合で同国と対戦するのは、1-7で大敗した因縁の試合以降では今回が初めてとなる。

 チッチ監督は3-0で勝利した23日のロシア戦からの唯一のメンバー変更として、ドウグラス・コスタ(Douglas Costa)に代わってイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)に所属するMFフェルナンジーニョ(Fernandinho)を起用すると明かした。

 対するドイツはスター選手のメスト・エジル(Mesut Ozil)とトーマス・ミュラー(Thomas Mueller)が休養のために離脱を許され、代わりにイルカイ・ギュンドアン(Ilkay Gundogan)が中盤を務めることになっており、ヨアヒム・レーブ(Joachim Loew)監督は、1-1で引き分けた23日のスペイン戦から5人を入れ替えるとみられている。

 今年6月にロシアで開幕するW杯で、大会連覇を目指すドイツが優勝候補の一角に挙げられている理由について、チッチ監督は詳しく説明し、「サッカーの戦い方だけでなく、ドイツはチーム独自のパフォーマンスを保つという難しい境地に到達している。それは、ヨアヒム・レーブ監督の指揮下でずっと持続しているものだ」とすると、「戦術的にも、ドイツにはたくさんの選択肢がある。(ドイツが優勝した)コンフェデレーションズカップ(Confederations Cup 2017)では、高い才能に恵まれた若手が活躍した」と述べた。(c)AFP/Ryland JAMES