【3月8日 AFP】嵐のような強風が吹き荒れる、濃いガスでできた木星の大気圏は厚さが約3000キロに及び、木星の質量の100分の1を構成するとする、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ジュノー(Juno)」の観測データに基づく研究結果が7日、発表された。

 今回の測定結果は、遠くから見るとカラフルなしま模様のあるガラス製のビー玉に似ている太陽系最大の惑星、木星の表面下で何が起きているかに初めて光を当てるものだ。

 木星の表面から深さ約3000キロに至るまでは、目くるめく回転する帯状雲とジェット気流で構成されていることを、ジュノーの観測データは示していた。それぞれの領域は強い風によって反対の方向に異なる速度で吹き流されている。

 一方、その下部にある水素とヘリウムの液体コアは一様に回転しており、固体のような振る舞いを示していることを、研究チームは明らかにした。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に今回発表された4件の論文のうちの一つの執筆者で、イスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のヨハイ・カスピ(Yohai Kaspi)氏は、AFPの取材に「この結果は驚きだ。なぜなら木星の大気は質量が大きく、これまで考えられていたよりはるかに深くまで及んでいることを、この結果が示しているからだ」と語った。

 木星に比べると、地球大気の質量は地球の全質量の100万分の1未満しかない。

 別の論文の執筆者で、仏コート・ダジュール大学(Universite Cote d'Azur)のトリスタン・ギヨ(Tristan Guillot)氏は「惑星科学のほぼ50年の謎が、これで解決される」と指摘した。

「木星のようなガス状惑星が中心に至るまでゾーンやベルトなどの領域とともに回転しているのかどうかや、逆に大気のパターンは表層だけが示すのかどうかなどについては、これまで明らかになっていなかった」

 今回の発見は、探査機ジュノーが実施した木星重力場の比類のない測定の成果だ。ジュノーは2016年7月から、地球に最も近いガス状巨大惑星である木星の軌道を周回している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux