【3月3日 AFP】イタリアのマフィアに関係する政治汚職について衝撃的な記事を公表しようとしていたジャーナリストとその婚約者が殺害されたスロバキアの各地で2日、大規模なデモが行われ、ろうそくを手にした大勢の人たちが汚職に抗議するとともに、殺害された2人を追悼した。

 首都ブラチスラバで行われたデモには主催者推定で約2万5000人が集まり、アンドレイ・キスカ(Andrej Kiska)大統領も参加した。国内各地でデモが行われ、氷点下の寒さの中、大勢がろうそくを手に無言で行進した。

 警察は2月25日、ブラチスラバの東方65キロに位置するヴェルカマカ(Velka Maca)の自宅で射殺されたジャーナリストのヤン・クツィアク(Jan Kuciak)氏(27)と婚約者のマルティナ・クシュニーロバ(Martina Kusnirova)さん(27)の遺体を発見した。

 クツィアク氏は、スロバキアで活動する複数のイタリア人実業家と伊カラブリア(Calabria)地方の悪名高きマフィア「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」との政治的癒着疑惑を取り上げた記事を公表しようとしていた。記事は今週、クツィアク氏の死後に公開された。

 スロバキア警察は1日、クツィアク氏が記事で名指ししていた複数のイタリア人実業家を拘束した。警察はクツィアク氏の殺害は「恐らく」この記事と関係があるとみている。

 スロバキアでは昨年も、汚職対策を遅らせた疑惑がかけられた政府と警察の高官の免職を求める大規模な反汚職デモが行われた。参加者のほとんどは若者だった。

 NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」はスロバキアをEUで7番目に汚職がはびこっている国と位置づけている。

 クツィアク氏の婚約者マルティナさんの葬儀は2日に北部の町グレゴロブツェ(Gregorovce)で執り行われ、ウエディングドレスを着せられた遺体が埋葬された。2人は今年5月に結婚する予定だった。

 クツィアク氏の葬儀は3日、チェコとの国境に近い北部の村シュティアブニク(Stiavnik)で執り行われる。(c)AFP/Laszlo JUHASZ with Mary SIBIERSKI in Warsaw