【3月1日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が避難生活を送る隣国バングラデシュとの緩衝地帯でここ数週間、ミャンマー兵が避難民への脅迫的な退去勧告を続けている。強制的にミャンマー側に連れ戻されることを恐れた避難民数百人が、国境を越えてバングラデシュに逃れたという。避難民のリーダーらが28日明らかにした。

 ミャンマー軍が同国西部ラカイン州(Rakhine)でロヒンギャへの過酷な取り締まりを始めた昨年8月以降、両国間の緩衝地帯ではロヒンギャ約6000人が避難生活を送っている。

 この一団は、昨年の暴力発生直後にミャンマーを逃れた人々で、バングラデシュ政府がロヒンギャの入国を認める数週間前に緩衝地帯に避難民キャンプを設置した。

 ここ数週間、ミャンマー兵はキャンプからわずか数メートルにある国境フェンス沿いのパトロールを強化。避難民らに対し、現在暮らしている土地はミャンマーの管轄下にあると拡声器で警告し、退去しなければ訴追すると迫っている。バングラデシュ側の国境警備当局者によれば、こうした警告は1日に10回から15回行われている。

 避難民キャンプのリーダーであるディル・モハマド(Dil Mohammad)さんはAFPの取材に対し、このメッセージでキャンプ中に動揺が広がったと説明。「すでに約150家族が、ラカイン州に強制送還されるのを恐れてキャンプを離れ、バングラデシュに向かった」と語った。

 ミャンマーとバングラデシュの当局者は先週、避難民キャンプを訪れ、ラカイン州に戻るよう促した。だが、避難民のリーダーたちは、市民権と身の安全が保障されない限り、同州には帰らないと主張している。(c)AFP/Sam JAHAN