【2月22日 AFP】スピードスケート・ショートトラックで、世界記録保持者にして世界選手権(ISU World Short Track Speed Skating Championship 2017)の3冠女王でありながら、五輪では過去6回のレースすべてで失敗に終わっている選手がいる。名前はエリーズ・クリスティ(Elise Christie)。母国の英国内では「呪われている」、「英国で最も不運な五輪選手」と呼ばれる彼女は、同国の数少ない金メダル候補として平昌冬季五輪に臨んだが、結果は出場した3種目すべてで転倒か失格というものだった。

 27歳のクリスティは20日、今大会3種目目となる女子1000メートルの予選に出場したが、またしても失格で涙をのんだ。悪夢のような大会を過ごしたクリスティは、4年前のソチ冬季五輪でも3種目すべてで失格に終わった。

 ソチでの受難は英国で詳しく報じられ、多くの共感を集めた。英国一売れている大衆紙「サン(The Sun)」は「呪われている」と報道。故郷スコットランドの「ヘラルド(The Herald)」紙は「英国で最も不運な五輪選手」と呼んだ。

 そして平昌五輪も、ルール違反で罰則を科され、リンクで涙に暮れるという悲劇の結末を迎えた。クリスティは1500メートルでも中国のライバルと接触して弾き飛ばされ、担架に乗せられた痛々しい姿で、同じように涙を流しながらアリーナを去った。世界記録を持つ500メートルでも、決勝でクラッシュして金メダルを逃している。

 2014年のソチ五輪でも、500、1000、1500の全レースで失格。2010年のバンクーバー冬季五輪にも出場したが、500メートルの11位が最高だった。

 それでも、クリスティの心は折れていない。彼女はすでに、2022年の北京大会でもう一度五輪のメダルを目指すと宣言している。

「一人の人間として、『これが五輪というもの。こういうことが起こるのが五輪』とは思っていない。ソチのときはそう考えていた部分もあった。自分は五輪のメダリストになれない運命なんだ、そういう星に生まれついていないんだと。でも今はそう思っていない。今は、4年間の中のうまくいかなかったほんの3レースというふうにみている」 (c)AFP/Peter STEBBINGS