【2月20日 AFP】暴力行為で心や体に傷を負ったイスラム系少数民族ロヒンギャの女性と子どもたちが、心の平穏を見出せる聖域「ウィドーキャンプ」。混雑するバングラデシュの難民キャンプ内にあるこの場所では、男性の立ち入りが禁じられている。

 オレンジ色の防水シートで仕切られたウィドーキャンプは、ミャンマーを離れてバングラデシュに避難した、夫を亡くした女性や幼い子どもたち数十人に安全な場所を提供している。

 ここにいる女性らは皆、国連(UN)が「民族浄化」となぞらえる残虐行為で夫を亡くしている。女性らは、暴力行為を逃れることはできたが、避難民であふれた国境地帯での食料や避難場所の確保といった生存競争へと放り出されたのだ。

 そのうちの一人、 スワレハ・ベーガムさんは、軍主導の弾圧で新婚3か月の夫を村で殺された後、一人で国境を越えた。まだ18歳の彼女だが、混み合ったほこりっぽいキャンプのなかで、他の避難民テントから少し離れた場所に設けられたウィドーキャンプの管理を任されている。

 ここで生活する約60人の女性らは、施設に対して強い主体性と誇りを持っている。女性らは自分らが使うトイレを管理している他、礼拝の時間を設け、大勢いる子どもと孤児の世話を共同で担っている。

 スワレハさんはAFPの取材に「夫がいる人たちは、竹と防水シートを使って自分たちの住む場所を造ることができる。自分らには、これが神の恵みとして与えられた」と述べながら、薄い敷布団と調理器具が並ぶ簡素なテントを指し示した。

 支援職員らは、監視の行き届かない避難所では、女性や少女が犯罪者や人身売買を行う者たちからの脅威にさらされていると語る。国際移住機関(IOM)は、結婚や仕事を与えるとの約束で避難所から誘いだされた女性らが、実際には強制労働や売春をさせられる実例を記録している。