【2月11日 AFP】サウジアラビアのイスラム高位聖職者が、全身を包む伝統的な黒い衣服「アバヤ」を公の場で着用することを女性に義務付ける必要はないとの認識を示した。厳格な社会規範の緩和に向けた広範囲に及ぶ取り組みの新たな兆しとみられている。

 国内最高位の宗教組織「高位聖職者評議会(Council of Senior Scholars)」のアブドラ・ムトラク(Abdullah al-Mutlaq)師は、9日に放送されたテレビ番組で「イスラム世界で信仰心のあつい女性の90%以上はアバヤを着用していない」と述べ、「従ってアバヤ着用を(女性に)強いる必要はない」と明言した。

 サウジは女性の権利を厳しく制限している世界有数の国で、アバヤ着用は法律で義務と規定されている。政府が法改正を表明したことはないものの、上位聖職者がその意向を示したのは今回が初めて。

 ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子は脱石油依存への転換を進める中、女性の運転やスタジアムでのサッカー観戦を解禁するなどの改革を導入した。

 ただ、サウジの女性が直面している制約は依然として数多い。現行の後見制度では、女性の進学や旅行など数々の活動に、父親や夫、兄弟といった男性近親者の許可が必要とされている。(c)AFP