■体重40キロだったショパン

 残されている記録によると、成人期のショパンは身長は170センチあったが体重はわずか40キロだった。こうした慢性的な体重不足は嚢胞性線維症の典型的症状だとされる。

 厳密に言えば、この心臓が本当にショパンのものであるという確証はない。だがビット教授は「少なくとも私たちが知る限りでは、これがショパンのものでないと考える理由はない」と話す。

 この心臓が最後に調べられたのは、第2次世界大戦(World War II)後の1945年だ。ビット教授が「明るい褐色」と呼ぶ液体に浸された心臓は、瓶の外からでもよく見え、保存状態も良い。同教授によると、フランス革命以降、同国ではコニャックが保存液として使用されていたため、この液体もコニャックである可能性が極めて高いという。

 ショパンの心臓が保存されているのは、ポーランド首都ワルシャワの壮大で華美なバロック様式の聖十字架教会(Church of the Holy Cross)だ。1849年、仏パリに亡命していたショパンが亡くなった後、姉のルドビカ(Ludwika)はその遺志に基づき、同年心臓を故郷ワルシャワに持ち帰った。心臓以外は、パリのペール・ラシェーズ(Pere Lachaise)墓地に埋葬された。

 この研究結果は、米医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシン(American Journal of Medicine)」2月号(印刷版)に、液体に浸された心臓の写真とともに掲載される予定となっている。(c)AFP/Mary SIBIERSKI