【11月7日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が暴力を避けて隣国バングラデシュに大量に逃れている問題で、国連安全保障理事会(UN Security Council)は6日、ミャンマー政府に対してラカイン(Rakhine)州での軍事力行使の抑制やロヒンギャ避難民の帰還支援を求める議長声明を発表した。

 国連安保理は全会一致で採択した議長声明の中で、60万人を超えるロヒンギャの住民がバングラデシュに逃れる事態を招いたラカイン州での暴力行為を強く非難。ミャンマーの治安部隊などによるロヒンギャの住民の殺害、性的暴行、家屋・家財への放火といった人権侵害に「深い懸念」を表明した。

 その上で、ロヒンギャの人たちが住む西部ラカイン州で「これ以上、軍事力を行使しないよう」呼び掛けた。

 またミャンマー政府に対し、人道支援関係者のラカイン州立ち入りを全面的に認めるとともに、ロヒンギャに「完全な市民権への平等な機会」を与えて、危機の根本的な原因に向き合うことも求めた。

 ただ、声明は制裁には触れていない。

 外交官らによると、声明の内容は英国とフランスが先月提出した草案をほぼ踏襲。ミャンマーの旧軍事政権を支持していた中国は当初草案に強く反対し、拒否権の行使を示唆していたが、交渉を経て声明の採択に同意したという。

 一方、ミャンマーのホウ・ドー・スアン(Hau Do Suan)国連大使は安保理の席で、議長声明について「ミャンマーに対して不当な政治圧力を行使するものだ」と反発。宗教間の緊張をさらに高めかねないと批判した。(c)AFP/Carole LANDRY