【11月5日 AFP】(更新)サウジアラビアで新設された汚職対策委員会が4日、著名な富豪1人を含む11 人の王子と、現職の大臣4人、大臣経験者数十人を拘束した。サウジ資本の衛星テレビ局アルアラビーヤ(Al-Arabiya)が、匿名の関係者の発言を引用して伝えた。

 これとは別に、一時は皇太子の地位を争った国家警備隊相のほか、海軍トップに加え経済企画相も交代し、サウジアラビアに激震が走っている。

 一連の取り締まりは、汚職対策委員会が国王令によって4日に設立された直後に報じられた。ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子(32)がトップを務める同委員会は、2009年に紅海(Red Sea)に面する港湾都市ジッダ(Jeddah)で発生した洪水といった古い事案の調査に着手していた。今回の拘束について政府の公式発表は出ていない。

 サウジの複数のニュースサイトは、富豪として知られるアルワリード・ビン・タラール(Al-Waleed bin Talal)王子も拘束されたと伝えているが、公式には確認されていない。同王子にコメントを求めようとしたが連絡が付かなかった。

 航空当局者はAFPに対し、治安部隊がジェッダでプライベートジェットを着陸させたと語った。重要人物が立ち去ることを防ぐ意図がある可能性もある。

 米テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)にあるライス大学ベーカー研究所(Rice University's Baker Institute)のクリスティアン・ウルリックセン(Kristian Ulrichsen)フェローはAFPに対し、「拘束の幅の広さと規模の大きさは現代サウジ史で前例のないものだ」と述べた。「伝えられているアルワリード・ビン・タラール王子の拘束は、事実とすればサウジ国内外のビジネス界に衝撃を与えるだろう」

「MBS」の略称で知られているムハンマド皇太子は、国民の約半数が25歳未満のサウジでミレニアル世代初の王位継承が見込まれているが、国王即位の時期は未定。国防から経済まで、あらゆる主要政策面で既に実権を掌握している事実上の支配者とみなされ、父親のサルマン国王(King Salman)から正式に権力を引き継ぐ前に国内の反対派を封じ込めようとしていると広く受け止められている。

 9月には影響力のあるイスラム聖職者ら二十数人が拘束され、組織的な弾圧だとして活動家が非難した。専門家は、拘束された人々の多くが、隣国カタールとの国交断絶などムハンマド皇太子の強気な外交政策に反対していたと指摘。国営企業の民営化や補助金削減などの大胆な政策改革に反対の人々もいたとしている。(c)AFP