【11月2日 AFP】米海軍は1日、静岡県・伊豆半島沖などで6月と8月に相次いで発生したイージス駆逐艦の衝突事故について、見張りについていた乗組員らの「複数の怠慢」が重なったことが原因だとし、「回避できた」とする調査報告書を発表した。

 2件の事故により、リーダーシップの欠如や、太平洋での頻繁な艦船の展開で乗組員らがストレス下に置かれていたことが浮き彫りになり、往来の盛んな海上交通路で適切な注意が払われていなかったことも明るみに出た。

 海軍制服組トップのジョン・リチャードソン(John Richardson)作戦部長(大将)は報告書の中で「これらの事故はいずれも回避可能だった。それぞれの事故調査によって監視員らによる度重なる怠慢が事故の原因となったことが明らかになった」と述べた。

 6月17日に発生した静岡県・伊豆半島沖の事故では、イージス駆逐艦「フィッツジェラルド(USS Fitzgerald)」がフィリピン船籍の貨物船と衝突し、米艦側の乗組員7人が死亡。複数の将校らが処分を受けた。

 同報告書は「特にフィッツジェラルドの監視班は基本的な連絡管理のために定められた規範を無視した。さらに重大なことに、司令官は確立された手順を守らず、衝突を回避できなかった」と指摘している。

 米政府監査院(GAO)の報告によると、乗組員らは過労状態にある上に訓練不足で、重要なメンテナンスもスケジュール通りに完了していない状況が続いていたという。

 また、特に問題が顕著なのは、横須賀や佐世保を母港とし、南シナ海(South China Sea)や朝鮮半島(Korean Peninsula)沖で重要な任務に就いている米海軍第7艦隊(7th Fleet)の艦船だと指摘している。(c)AFP