【10月20日 AFP】米フロリダ州(Florida)にあるフロリダ大学(University of Florida)で19日、白人至上主義者で右派勢力「オルト・ライト」(オルタナ右翼)のリーダーとされるリチャード・スペンサー(Richard Spencer)氏が演説会を開催したが、数百人規模の猛烈な抗議に遭い、演説を行えないまま降壇を余儀なくされた。

 会場となった大学の講堂では、中に入ることができたスペンサー氏の支持者は30人ほどにとどまり、反対派の人数が圧倒した。反対派は立ち上がって右手の拳を突き上げ「ノーモア・スペンサー!」などと叫んだ。怒りに満ちた非難や口汚いやじの大合唱を浴びながら登壇したスペンサー氏は「素晴らしいあいさつだ」「歓迎ありがとう。話を始めてもいいかな?」と述べたが、その声はかき消された。

「反体制派知識人」を自称するスペンサー氏は、「一晩中そうやっているつもりか?」と抗議する人々を批判。「君たちは自分たちのメッセージを発した! なぜ対話をしようとしないんだ?」「結局、君たちは言論の自由を信じていないんだろう」などと述べ、「大きく育ちつつある運動、白人のために立ち上がろうとしている運動を、君たちは卑劣にもつぶそうとしている」と怒鳴った。

 スペンサー氏は、オルタナ右翼のリーダーの一人。8月にバージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)で反対派と激しい衝突を起こした白人至上主義者の集会の主催者の一人だ。この集会では、極右支持者の男が車で反対派の群衆に突っ込み、女性1人が死亡している。オルタナ右翼と呼ばれる人々には、白人主義者やネオナチ、白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の支持者らが含まれる。

 同様の衝突を警戒し、スペンサー氏の演説当日、フロリダ大学周辺には厳戒態勢が敷かれた。同大があるゲーンズビル(Gainesville)市内には大量の警官隊が展開し、リック・スコット(Rick Scott)フロリダ州知事は大学一帯に非常事態宣言を出した。(c)AFP