【10月18日 AFP】リビア西部の沿岸都市サブラタ(Sabratha)で、妊婦や乳幼児を含む移民2万人以上が施設に収容されるか密航業者に拘束されていることが分かった。国連(UN)が17日、明らかにした。サブラタはリビアにおける人身売買の中心地となっており、国連は移民に対する虐待が「衝撃的な規模で」行われていると警鐘を鳴らしている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、リビア当局はサブラタ内外と首都トリポリ(Tripoli)西部で密航業者に捕らわれていた移民1万4500人以上を施設に収容しているという。

 今月上旬、国連が支援している統一政府(国民合意政府、GNA)とつながりのある部隊が、敵対関係にある民兵組織の掃討作戦を実施。その後、サブラタやその周辺の農地や家屋、倉庫内から移民が発見された。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見を行ったUNHCRのアンドレイ・マヒチッチ(Andrej Mahecic)報道官によると、移民らは当局が運営する収容施設へ段階的に移送されている。また市内には他にも6000人の移民が密航業者に拘束されているとみられるという。

 マヒチッチ報道官によると、密航業者に捕らわれていた移民の多くが性暴力や強制労働を含む虐待を受けており、銃弾で撃たれた傷がある人もいた。虐待を受けていた移民の中には妊婦や乳幼児もおり、数百人の移民が発見時、衣服や靴を身に着けておらず、数日間にわたり何も口にしていないと語っていたという。

 長きにわたってリビアで独裁体制を敷いた故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)政権の崩壊とカダフィ大佐殺害につながった2011年の騒乱以降、サブラタは欧州を目指す移民たちにとっての中心地となった。同市では治安対策が手薄なことに乗じ、地元の密航業者の一部が市全域を支配し、移民を運ぶ船を日に数十隻発着できる船着き場も建設している。(c)AFP/Nina LARSON