【10月17日 AFP】スペインの巨匠画家、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)の娘だと名乗っていた女性の申し立てをめぐり、首都マドリード(Madrid)の裁判所が、女性側の主張を退け、DNA鑑定のために行ったダリの遺体掘り起こし作業の費用を支払うよう命じていたことが16日、明らかになった。

 申し立てを行っていたのは霊媒師として生計を立ててきたピラル・アベル(Pilar Abel)さん(61)。アベルさんは、母親は1989年に84歳で死去したダリとひそかに親密な関係にあったと主張していたが、裁判所によると、7月に遺体を掘り起こして行ったDNA鑑定の結果、アベルさんとダリとの間に親子関係はないことが証明された。この結果を受けて裁判所はアベルさんに遺体掘り起こし費用の支払いを命じたが、金額は明らかにしていない。

 ダリの墓は、1904年にダリが生を受けたスペイン北東部フィゲラス(Figueras)のダリ劇場美術館(Dali Theatre-Museum)内にある。遺体の掘り起こし作業は、この墓の上にある1トン超の厚板を外すという大掛かりなもので、法医学専門家らが掘り起こした遺体から皮膚、爪、遺骨2本を検体として採取してDNA鑑定を行った。

 ダリの遺産を管理するガラ・サルバドール・ダリ財団(Gala-Salvador Dali Foundation)はAFPに対し、遺体の掘り起こしにかかった費用の全額はまだ計算していないと述べている。

 アベルさんは、自身とダリとの親子関係を否定した今回の裁判所の判断について、不服を申し立てることもできる。(c)AFP