【10月4日 AFP】(更新)スペイン国王フェリペ6世(King Felipe VI)(49)は3日、スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州の独立をめぐる危機についてテレビで演説し、同国の安定を脅かしたとして同州の指導者らを厳しく非難した。また同州に対し「憲法の秩序」を守るよう要請した。

 中央政府は同州独立の是非を問う住民投票を違法としていたが、投票は1日に強行された。その際、警察が投票者に暴力を振るったことに怒った多くのカタルーニャ人が3日、州都バルセロナ(Barcelona)で大規模なデモを行った。

 情勢が緊迫し、スペインにとって過去数十年間で最も深刻な政治危機に進展しているなか、3日のデモの後に演説した同国王はこれまでの抑制した口調を捨て去った。国王はカタルーニャの指導者らの「無責任な行為により、カタルーニャ、ひいてはスペイン全域の経済的・社会的安定が危険にさらされた」と非難。カタルーニャの指導者たちは「完全に法律と民主主義の外に出てしまった」と述べた。

 バルセロナのバーでテレビを見ていた人々は国王の演説の後、口笛を吹いたりブーイングをしたりした。

 トラック運転手のドミンゴ・グティエレス(Domingo Gutierrez)さん(61)は「本物の恥さらしだ。何の解決にもならないどころか火に油を注いだだけだ」と述べた。

 グティエレスさんは「彼(国王)は負傷者について一言も話さなかった……私はこれまで独立賛成派ではなかった。両親はアンダルシア(Andalucia)出身だしね。でもああいう連中のおかげで今や誰にも負けない独立派になったよ」と語った。

 バルセロナのデモに集まった人々は治安部隊を「占領軍」と呼び、同地域からの退去を要求して声を荒らげた。また頭上を旋回する警察のヘリコプターに向かって中指を突き立て、侮辱する態度を見せた。バルセロナの警察はデモ参加者を約70万人としている。(c)AFP/Marianne Barriaux with Roland Lloyd Parry in Madrid