【9月22日 AFP】スペインで発見された初期人類ネアンデルタール(Neanderthal)人の少年の頭蓋骨の分析で、その成長パターンが現生人類の少年と酷似していたことを示唆する結果が得られた。研究論文が21日、発表された。絶滅したヒト属の一種ネアンデルタール人が現生人類と似た特徴を持っていたことを示す新たな証拠となる。

 この希少なネアンデルタール人の子どもの部分骨格は、成人7人と若者5人の骨の化石とともにスペイン・エルシドロン(El Sidron)にある4万9000年前の考古学的遺跡で発見された。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究論文によると、「El Sidron J1」として知られるこの7.7歳の少年に関する今回の研究は、この地域から発見された若年のネアンデルタール人に対する初の学術調査だという。

 論文の共同執筆者で、スペイン国立自然科学博物館(National Museum of Natural Sciences)古人類学研究グループに所属するルイス・リオス(Luis Rios)氏は、記者会見で「このネアンデルタール人で確認されるのは、全体的な成長パターンが現生人類に非常によく似ていることだ」と語った。

 論文によると、死亡時の少年はまだ成長途上にあり、脳の大きさは平均的な成人のネアンデルタール人の約87.5%だったという。

 現生人類の少年では、この年齢までに脳の重さが成人の約95%に達していると考えられると論文は続けている。

 脊柱については、一部が未結合だったことが分析で示された。これと同じ部位の骨は、現生人類ではより若い年齢の4~6歳で結合する傾向がある。

 今回の研究は、人類発達の歴史に新たな光を投げかけている。ネアンデルタール人は、アフリカ大陸から出現した現生人類とは独立してユーラシア大陸西部で進化したが、両者は多くの共通点を持っている。