【9月21日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が国連総会(UN General Assembly)で行った初演説をめぐり、イランを痛烈に非難した箇所をイランの国営放送の通訳者が角の立たないように恣意(しい)的に訳し変え、ソーシャルメディア上で批判を浴びている。この通訳者は20日、「国営テレビで自国に敵対的なことは言うべきでない」などと自らの判断を正当化した。

 トランプ氏の演説を英語からペルシャ語に同時通訳していた国営イラン放送(IRIB)の通訳者ニマ・チートサーズ(Nima Chitsaz)氏は、トランプ氏がイランを「口撃」し始めると、とっさの判断でイラン国民がそれを回避できるようにした。

トランプ氏:「(イランは)暴力、殺りく、混沌(こんとん)を主な輸出品とする劣化したならず者国家だ」

通訳後:「イランはイスラエルを破壊すると言っている」

トランプ氏:「米国の巨大な軍事力以外で……イランの首脳が最も恐れているのはイランの国民だ」
通訳後:「米陸軍は非常に強力な軍隊で、イランは非常に強力な国家だ」

トランプ氏:「だからイランの政権はインターネットへのアクセスを制限し、衛星放送アンテナを壊し、武器を持たない学生デモ隊を撃ち、政治を改革しようとする人々を投獄している」
通訳後:「イランで起きている多くのことはわれわれにとって受け入れられない」

 チートサーズ氏はこの「超訳」をめぐりソーシャルメディア上で非難され、ツイッター(Twitter)には同氏をやゆする書き込みが相次いだ。

 あるユーザーは「あなたは通訳で給料をもらっているの? それとも、自分が適切と思う通訳をして給料をもらっているの?」とツイート。

「トランプのたわ言を通訳しなければ、視聴者はこの間抜けな人物をきちんと判断できないじゃないか」という投稿もあった。

 チートサーズ氏は20日、IRINNテレビで「国営放送で自分の国に敵対的なことを話すのが良いとは思わない」と説明。自分と同じ立場だったら、他の人もトランプ氏の発言をそのまま訳そうとはしなかったはずだと語っている。(c)AFP