【9月20日 AFP】メキシコの首都で人口2000万人を抱えるメキシコ市(Mexico City)近郊で19日にマグニチュード(M)7.1の地震が発生した際、同市内中心部ではパニックになった人々が建物の外に走りだしたが、幸運に恵まれた人は多くはなく、粉じんが収まって現れたのは崩壊した建物とがれきの山だった。

 わが子の安否を案じて地元の学校に駆け付けた他の親たちに交じり、幼い娘を抱きかかえていた公務員のペドロ・クルス・マルティネス(Pedro Cruz Martinez)さんは、「恐怖ですよ。今まで経験した揺れの中で最も激しいレベルだったと思う。マグニチュードは分からないけど、とにかく恐ろしかったです」と語った。

 悲鳴と衝撃が収まった後、人々は直ちに生き埋めになった生存者の救出に乗り出した。 メキシコ市では、救助隊やボランティアが倒壊した建物少なくとも49棟のがれきを掘り起こし、生存者と遺体の捜索を行っている。市内中心部を縦横に走る街路ではそこかしこで、重機の到着を待つ間、倒壊して押しつぶされた建物の上で数十人の人々が素手で懸命にがれきを取り除いた。

 地震が直撃したとみられるのは、ローマ(Roma)、コンデサ(Condesa)、ドクトーレス(Doctores)などの市内中心部の地区。

 飲食店が集中し、いつも人出でにぎわうローマ地区では数棟の建物が完全に倒壊している。同地区は1985年の9月19日にも地震の直撃を受け、市内の大部分は壊滅状態となり、少なくとも1万人が死亡した。

 恐怖におびえて涙している市民も多いが、そんな中でも小さな勝利はあった。ローマ地区のアルバロオブレゴン通り(Calle Alvaro Obregon)では救助隊ががれきの下から生き埋めになっていた人の救出に成功し、周辺には拍手と歓声が響き渡った。

 今回の地震による死者は政府発表では138人に達し、メキシコ市の死者は36人、同市南に接するモレロス(Morelos)州では42人となっているが(日本時間20日午前現在)、死者数は今後も増える恐れがある。(c)AFP