【9月5日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が置かれている窮状をめぐり、ミャンマーと同国文民政権を率いるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問に対する批判が強まっている。4日には、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のパキスタン人活動家、マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんや、アジアのイスラム圏諸国が非難の声を上げた。

 武力衝突の絶えないミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州では、先月25日に武装集団とミャンマー軍の戦闘が発生。これまでの10日間で、9万人近いロヒンギャが隣国バングラデシュに一斉に避難した。

 バングラデシュと国境を接する貧しいラカイン州では以前から、イスラム系住民と仏教系住民の間で緊張が高まることが多く、ロヒンギャは移動や市民権の面で、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)をほうふつさせる制約を課されてきた。

 ここ最近の騒乱は昨年10月、ロヒンギャの小規模な武装集団が複数の国境検問所を奇襲したことに端を発しており、ラカイン州で発生した衝突としては近年最悪の事態に発展。国連(UN)は、ミャンマー軍が報復として民族浄化に及んだ可能性があるとの認識を示している。

 ミャンマーの軍事政権に政治囚として長年軟禁されてきたスー・チー氏に対しては、ロヒンギャに対する処遇を明確に非難することや、軍を処罰することに及び腰だとの批判が徐々に高まっている。スー・チー氏は25日の衝突発生以降、公の場で一度も発言していない。

 イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」に頭部を銃撃されたものの一命を取り留めたマララさんはツイッター(Twitter)上に声明を出し、「報道を目にするたびに、ミャンマーのロヒンギャのイスラム教徒の窮状に胸が痛む」とつづった。

 さらに、「私は過去数年間、この痛ましく恥ずべき処遇を繰り返し批判してきた。私は同じノーベル賞受賞者のアウン・サン・スー・チー氏が同様にしてくれることを、いまだ待ち続けている」と述べた。

 この危機の高まりの影響はミャンマーの外交関係にも及び、とりわけ、マレーシアやインドネシアといった東南アジアのイスラム圏諸国では国民の間でロヒンギャへの処遇に強い怒りが募っている。

 マレーシアのアニファ・アマン(Anifah Aman)外相はAFPに対し「率直に言って、アウン・サン・スー・チー氏には満足していない」と発言。また、インドネシアのルトノ・マルスディ(Retno Marsudi)外相は4日、ミャンマーに危機への対処を促すため、スー・チー氏らと同国の首都ネピドー(Naypyidaw)で会談した。(c)AFP