【7月14日 AFP】(更新)国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は13日、イラクのモスル(Mosul)一帯で、兵士や警察官が捕虜を処刑したり、激しく殴ったりしている様子を映したとされる動画が、フェイスブック(Facebook)に投稿されたと発表した。イラク当局者はこの問題について調査が行われていると明らかにする一方、動画は捏造(ねつぞう)された可能性があるとも言及している。

 イラク政府は今週、9か月近くにわたる戦いの末、モスルでのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に対する勝利を宣言した。同市はこの戦いで荒廃し、住民と治安部隊に多くの犠牲者が出ている。

 HRWは声明で、「イラク兵と連邦警察が捕虜たちを殴り、法手続きを踏まずに殺害する様子を映したものとみられる」複数の動画があると指摘。フェイスブックに投稿された動画へのリンクを掲載した。

 問題の動画の一つには、イラク軍の制服を着た男たちが、ひげを生やした被拘束者の男性を殴った後に、崖の縁まで引きずって下に投げ落とし、この男性と崖下にいたもう一人の人物を撃つ様子が映っていた。

 HRWのイラク担当上席研究員、ベルカス・ビレ(Belkis Wille)氏は「モスル西部の戦いが終わるまでの数週間、できるだけ早く戦闘を終結させたいという兵士たちの願望を、私はじかに目にした」と述べた上で、兵士らは「戦争法規の順守をないがしろにするようになった」ようだったと指摘。

 ビレ氏は、イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相に対し、違反行為に対する捜査を行うよう求めた。

 イラク統合作戦軍(Joint Operations Command)の報道官は13日、米国防総省で開かれた異例の記者会見で、人権侵害を行った者は誰でも責任を問われることになると指摘。一方で「われわれがこの勝利で得た喜びや安心感を薄めたがっている者がいることも、忘れてはならない」とくぎを刺した。

 イラク内務省の報道官は、今回の問題に絡んで複数の要員が職務を停止されたと発表。「部隊の一部による不品行や不適切な行為があった可能性はたしかにあるが、調査中だ」と語った。(c)AFP