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蚊の吸血、「完全犯罪」崩す糸口に 研究

2017年7月11日 13:09 発信地:パリ/フランス

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蚊の吸血、「完全犯罪」崩す糸口に 研究
吸血するカ。ミャンマー・ヤンゴン(2016年10月30日撮影、資料写真)。(c)AFP/YE AUNG THU

【7月11日 AFP】人を殺した犯人が、薄ら笑いを浮かべて姿をくらます──それは、目撃者、指紋、足跡、毛髪など、身元が割れるような証拠は何も残していないことを知っているからだ。

 だが、この自信過剰な犯人がもし犯行現場で1匹の蚊に刺されていたら、それを証拠に有罪判決を言い渡すことも将来的には可能になるだろうとした研究論文が先ごろ、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に発表された。

 名古屋大学(Nagoya University)の研究チームは、吸血後48時時間以内であれば、蚊の体内から抽出した人の血液を用いて、血液の「元の持ち主」を特定することができることを明らかにした。

 研究を率いた山本敏充(Toshimichi Yamamoto)氏は、「この技術は、誰が犯行現場にいたかを突き止める一助となる可能性がある」「将来的には、犯罪者に有罪を言い渡すための証拠を提供する可能性がある」と述べる。

 蚊が吸った人の血液に、身元を確認できるDNAの特徴がどのくらいの期間保持されるかについては、これまで不明だった。そこで山本氏と法医学研究者らのチームはこの問題の解明を試みた。

 研究チームは、被験者を刺した蚊から抽出した血液を分析するために「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」法と呼ばれる手法を用いた。

 PCRは、微小なDNA断片を最大で数千倍に増幅するための標準的な科学捜査ツールの一つだ。

 研究チームは今回、血液が蚊の胃の中で2日間消化された後でも、微量の痕跡から、蚊に吸血された被験者を正確に特定できることを確認した。血液は、吸血から3日後に完全に分解された。

 今回の実験は、熱帯および亜熱帯の大半の地域に生息する、アカイエカ(学名:Culex pipiens pallens)とヒトスジシマカ(学名:Aedes albopictus)の2種類を対象に行った。

 山本氏は、「この技術が、犯罪捜査官が確かな証拠を集める助けになることを期待している」とコメント。さらに研究を重ねることで、蚊がいつ刺したのかを正確に推定することが可能になるかもしれないとした。

 大半の蚊の行動範囲は半径200~300メートル以内で、寿命は種によって数日から数か月に及ぶ。人を刺すのは雌だけで、雌は通常、雄よりも長生きする。(c)AFP/Marlowe HOOD

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