【7月8日 AFP】マレーシア・ボルネオ島(Borneo Island)に生息するオランウータンの個体数が過去10年間で25%減少しているとの論文が7日、英科学誌ネイチャー(Nature)系のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。研究者らは同論文で、絶滅の危機にあるオランウータンの保護策を見直すべきだと訴えている。

 研究チームは、オランウータンの個体数の長期的な推移を分析した試みは今回が初めてであり、それにより、減少率が懸念すべきレベルであることが明らかになったと主張している。

 これまで発表されてきた個体数は、オランウータンが木の上に作るネスト(巣)と呼ばれる寝床を地上と上空から調査した結果に基づく推定値に大きく頼っており、ボルネオのオランウータンの数は実際には増加していると示唆する人々もいた。

 今回、論文を発表した国際的な研究チームは、ヘリコプターを使った空からの調査と地上調査を組み合わせ、地元住民へのインタビュー、モデリング技術を使って、過去10年間の個体数変化を調べた。その結果、森林100平方キロメートル当たりの推定個体数は1997~2002年までは約15頭だったのに対し、2009~2015年は約10頭に減少していたことが分かった。

 同研究チームは声明で、今回の新たな調査結果は「オランウータンの保護団体や、オランウータンを保護してきたインドネシア、マレーシア両政府に対して警鐘を鳴らすものだ」と述べている。

 オランウータンは大きな脅威にいくつもさらされており、農地開墾や気候変動により生息地が減少しているのに加え、食用として捕獲されたり、人間との対立によって殺されたりするケースも多い。(c)AFP